家族の話

一人暮らしが長くなると、家族といる時間が短くなる。

私も一人暮らしをはじめてかれこれ6年目だ。実家の両親とは月に一度会えばいい、というくらいになった。

同僚や友達とも仲が良く、長年付き合ってる人もいるが、やっぱり家族と他人は決定的にちがうな、と思うことが先日あった。

 

去年、小学校時代の友人が結婚した。

母親も知っている子だったので、今度結婚式に出るという話をした。

そのとき母は私にこう言ったのだ。

「周りはどんどん結婚して行くのに…(あんたは)売れ残ったわね」

 

私は今年で32歳になる。

確かに周りにいる友達はほとんど結婚をしているか、結婚を控えている人ばかりだ。一度したけど離婚した、という人もいるけれど。

事実結婚の波に乗り遅れたし、もう若いと言える年齢ではないだろう。それは間違いない。

けれど、だからこそ、「それを本人に言うか!?」という、かなりの衝撃があった。

「ひどいこと言うね!」と笑って流したが、その言葉が出るのにちょっと時間がかかったほどだ。

 

私自身結婚願望はそこまでないし、母には真剣味が感じられないから軽口のつもりで言ったのかもしれない。

それでも私がそこそこ婚活をしているのを母は知っていたはずだ。結婚願望が強くなくとも、結婚したくないわけじゃないことも。

それなのに正面切って本人に言うなんて、まぁデリカシーというか気遣いがないと思う。

でもきっと、ずっとそう思ってたんだろうなとも思った。

そしてそういう言葉が出てくるのは、やっぱり家族だからなのだろうなと感じた。

よっぽど思いやりがない人ならともかく、他人にそんなこと言う人はまずいないだろう。

もしかしたら単純に、世代的なものかもしれないけれど…

 

家族と離れている時間が長くなるにつれ、同僚も友達も恋人も、結局は他人とばかり過ごすようになっていた。

気ままで楽しい独身生活は、同時に周りの他人の思いやりで成り立っているのかな、と思った。

家族は大事だが、とても近い存在な分、もしかしたら他人よりもずっと付き合い方が難しいのかもしれない。