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すきだった人の話

20代そこそこで、いわゆる2.5次元舞台(ミュージカル)に嵌っていた。

そのコンテンツ自体は3年程度で卒業したが、原作でいちばんすきなキャラを演じていた役者さんを、それから10年弱追いかけ続けていた。

追っかけをしている中でいろんな人と出会った。

ネットで仲良くなり舞台をきっかけに会うようになった人。

とても仲良くなった人、だけど最終的に修復のできないケンカをした人。

いろんなことがあったなぁ…と思うけれど、今もずっと仲良くしてくれる友達もいる。

それこそ10年来の友達になるのだろうか。

今では舞台だのなんだの関係なく、いち友人としてなんでも喋れる間柄だ。

住んでるところは遠いのに、本当に人の縁というのは不思議なものだ。

 

ところで、その俳優さんを追い駆け続けなかったのにはもちろん理由がある。

冷めたとか飽きたとか、彼氏・結婚云々ではない。

件の役者さんが逮捕され、活動できなくなったからだ。

逮捕以前からスキャンダルで浮き沈みがあったのだけれど、『こりゃもういかんな』という感じの幕引きだった。

 

その俳優さんに出会うまで、俳優というものはテレビで見るものだと思っていた。

舞台というのも能や歌舞伎のイメージで、いろんな劇団がいろんな演目をいろんな都市で行っていることを私はほとんど知らなかった。

ファンイベントではじめて会話したときのことはもうよく覚えていないけれど、楽しみで楽しみで、ケンカ別れした当時の友達に服装や髪型をいろいろ相談したのを覚えている。

マナーのいいファンになりたくて、出待ち・入り待ちみたいな行為はぜったいにしなかった。

遠征に行ってもキャストさんが泊まっているホテルがわかっても、乗り込むようなこともぜったにしなかった。

それでもイベントの帰り道、たまたまおなじく帰る途中のその俳優さんと会い、会釈を交わせたことや、手紙が手渡しできるイベントで「あ!これ、いつもくれる手紙!」と、覚えていてくれたことは本当に嬉しかった。

『ファンとして報われた』としみじみ感動したし、この人のファンで居続けたいと思った。

まぁ、そんな思いもむなしく、結局そんな結果でファンを続けたくても続けられない状況になった。

 

先月、その俳優さんを通じて仲良くなった友達と久しぶり、それこそ3年?4年?ぶりくらいに会った。

お互いのすきなものは変わってしまったけれど、当時の話をするのは本当に懐かしくて楽しかった。

相変わらず好みの男性が似ているのもなんだか笑えた。

「いろんな大変なこともあったけど、なんだかんだあのときが青春だったよね」と、そう言って思い出に浸った。

 

その後、懐かしい気持ちに駆られてその俳優さんの名前を検索したらしい彼女が、彼が現在は改名して大衆演劇で舞台に立っているということを教えてくれた。

おなじように検索してみると、twitterにも登録していた。現在の写真も投稿されていた。

数年経っているのに、変わらない顔がそこにはあった。

すごく懐かしかったけれど、もうあの頃みたいにときめくような感覚はなかった。

ただひたすら、元気でいてくれてよかったと思った。

 

そんなわけで、もし機会が合えば未経験ということもあり、大衆演劇というものを見に行ってみたいな、という気持ちで今はいる。

どんな経過を経ていても、やっぱり一度本当にすきになった人というのは、そう簡単には嫌いになれないんだなと思った。